弱者は、どのように生きればよいか
弱者の定義はいろいろあると思うけど、自分ではやっぱり弱者だなと思います。
もっと頭が良かったり、見栄えの良い強者だったら、もっと違う人生だったのかもしれません。
そんなことを言っても仕方ないので、弱者は弱者なりの戦い方が必要です。
そこで、『弱者の戦略 (新潮選書)』です。
冒頭は、「ライオンとシマウマはどっちが強い」から始まります。
そりゃあ、ライオンでしょうと思われるかもしれません。
でも実は絶滅が心配されているのは、ライオンの方だそうです。
ライオンが強いのなら、ライオンはシマウマを食べてしまってシマウマの方が絶滅しそうなのにそうなっていない。
ちなみにシマウマが草原にいるところをイメージしてもらいたいのですが、めちゃくちゃ目立っていますよね。
実はシマウマの敵であるライオンやヒョウは色が識別できないので、草木の中に紛れると肉食獣たちは草木とシマウマの見分けがつかなくなるそうです。
シマウマは人間から見ると全然隠れられていませんが、自分たちの敵に対する対策はしっかり打っていたのです。
そもそも、強さとは何なんでしょうか。
その詳細は本書を読んでいただくとして、ここでは本書にあった「弱者必勝の条件」に注目したいと思います。
その1.弱者は「複雑さ」を好む
個人的に思い浮かんだのは、オリンピックでの日本のパシュートですね。
女子団体パシュート 世界最速の秘密 | SPORTS STORY | NHK
出場した日本の選手が弱いとは思いませんが、個々人の自己ベストのタイムを単純に足しただけではライバルのオランダに敵わないレベルでした。
しかしパシュートでは「一糸乱れぬ隊列」や、「高速の先頭交代」などの個人競技にはない複雑さのポイントがあります。
日本代表はここを徹底的に練習することにより、金メダルを取得しました。
本書では、ガゼルや蝶の例が挙げられていました。
ガゼルが正解最速の動物であるチーターから逃げる方法は、ジグザグに走ることです。
直線ではチーターが最高速度に達してしまうので、それを防いでいるのです。
蝶はひらひらと飛ぶ複雑な動きは、天敵である鳥が非常に攻撃しにくい動きなのです。
勝負するならより複雑なルールがある勝負に持ち込むことで、単純な勝負では力負けする相手に対しても勝機が見いだせるわけです。
その2.弱者は「変化」を好む
ここでいう「変化」とは、環境が大きく変わるということです。
環境が一定であれば、特定の生物の一人勝ちになります。
砂漠と熱帯雨林では、後者の方が環境が多用で変化が激しいです。
その結果、さまざまな生物が生き残れるようになります。
本書では、外来植物である西洋タンポポの例が挙げられていました。
日本で繁殖している西洋タンポポは、在来種である日本タンポポが生えている草むらには生えられないそうです。
ではどこに生息しているかというと、人間が住宅などの建築のために草むらに対して土木工事という大きな変化をもたらした場所です。
彼らのように、変化をチャンスととらえて進出することを見習いたいですね。
その3.「最悪」の条件こそ「最高」である
本書では、サッカーを例に挙げていました。
素人のサッカーチームがプロと対戦しても、勝つことはできません。
でも、台風が直撃しているグラウンドの中ならどうでしょうか。
また、普段から素人のサッカーチームが非常にコンデションの悪い環境で練習している場合なら?
弱者だからこそ、「最悪」の条件が「最高」になりうるわけですね。
でも、「最悪」の条件がずっと続くと、「変化」がなくなってしまい強者に負けてしまいます。
弱者は常に、複雑で最悪な条件を求めて変化し続けないといけないのです。
ピンチはチャンスってやつですね。