悩みを聞く人ができることは、聞いて共感することだけだが、それに救われる人がいる
夏休み明けには、子供の自殺が増えるそうです。
考えてみれば、小中学校などは特に、子供が自分で選んだところでもないし、嫌な人間関係があってもどうしようもない状態に追い込まれるのだから、せめて何かもう一つ、居場所となるところがあればいいのかもしれません。
家庭に居場所があればいいと思うかもしれませんが、子供にとっては子供の世界こそが全てで、家庭というのは大事な空間ではあっても子供にとっての居場所にはならないのかもしれません。
『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ
まあそんなことを言っても始まらないので、今回は『マンガで分かる心療内科 うつを癒す話の聞き方編 (ヤングキングコミックス)』より、参考になりそうな情報を記載します。
まず、話を聞くときは、相手の目を見ると言いそうです。
これは、どんな状況でもそうですね。
相手に関心があることを示すサインになりますので、意識して行いましょう。
次に、悩みを聞いたときにすぐにアドバイスすることはNGだということです。
男性は特に、解決策を提示したくなりますよね。
悩んでいる人は解決策自体を知らないというよりは、全ての解決策においてなんらかの実施できない理由がある状態です。
だからどんなアドバイスをしても、それができない理由が返ってくるだけです。
ではどうすればいいかというと、どう大変なのか、どれくらい大変なのか、その人はどうしたいと考えているのかを聞いてあげることです。
悩んでいる状態のときは、本人も自身の気持ちが整理できていないので、話すことで整理ができるわけです。
だから聞く方ができることは、話を聞くことだけ。
アドバイスは、向こうが求めてきたら1つの意見として言うくらいに位置付けにしましょう。
この辺も、アドラー心理学の「課題の分離」なんですよね。
その人の課題は、その人にしか解決できません。
どれだけそのアドバイスが正論であっても、その人にはその人の人生があるわけです。
また、話を聞く際はあいづちを打ちます。
話す内容よりも、こういう非言語コミュニケーションの方が大事だったりします。
相手の話した内容をそのまま繰り返すのも、相手に聞いているということが伝わります。
相手の話す内容も大切ですが、相手の感情も大切です。
自分にとっては大した問題でないようなことも、相手にとって一大事であればその大変さに共感するようにします。
逆に相手に共感してほしいときは、自分の感情を言葉にして伝えるよう努力しましょう。
さらに話を聞く側は、たとえどれだけ正論の内容であっても上から目線で説教するような態度は避けないといけません。
「どんな事情でそういう状況になってしまったのか」や、「何がきっかけだったのか」などを聞くようにしましょう。
相手は現状に甘んじているところもあると思いますが、その状況を変えたいと思っているところもあると思います。
そんないい部分を認めるように話し、相手の中にある理想の状態を引き出すようにしましょう。
そして、現状のままだと叶えられない、もしくは手遅れになる状況であることに気づいてもらえるようにします。
いつか叶えたいという夢でも、老人になってからでもいいという人は少ないでしょう。
もし悩みを打ち明けられたら、勇気をもって話してくれたことに感謝し、自分がどう感じたかに関係なく、相手にとって重大な問題であることを理解し、共感しましょう。
相手にとっては、とてもつらい状況をなんとか耐えている状況で頑張っていることを評価するようにします。
また、この本で特に印象深かったのは、とある自殺が多発する場所で、高さ50センチの鉄線を引いただけで、自殺者数が激減したという話です。
最後は、本書の台詞からの引用としたいと思います。
自殺者は死ぬことを確信的に決めているわけではない…
生と死の間で気持ちが揺れ動いているんです!
(中略)
最後の最後まで人とつながりたいと考えているんです!
(中略)
ほんの一回話を聞くだけで
たった一度止めてもらうだけで
その人は再び生きていけるんです!