依存をやめるのは、あなたが本当の笑顔を取り戻し充実した人生を過ごすため
今回も、『マンガで分かる心療内科 依存症編(酒・タバコ・薬物) (ヤングキングコミックス)』より、印象に残った箇所をご紹介します。
依存行為中でなければ、周囲の人が依存症の人に対して注意してもよいです。
ただし、注意はシンプルかつ具体的にする必要があります。
例えば
「どうして家の中でタバコを吸うの?私たちの健康なんてどうでもいいの?もっと父親らしくしっかりしてよ」みたいなのはNGです。
質問形式で言いたいことをいうと、問い詰める感じになってしまいますね。
また、「しっかりして」というのが何を要望しているのかも伝わりません。
良い例は、
「家の中でタバコは吸わないでくれると嬉しいの」
というように伝えることです。
シンプルかつ具体的に要望を伝えていますし、「アイメッセージ」になっています。
「アイメッセージ」とは、相手がこうしてくれると私はどう感じるかを伝える伝え方です。
人を動かしたいなら、「アイメッセージ」を使いこなせ | リクナビNEXTジャーナル
「家の中でタバコは吸わないで」
と、
「家の中でタバコは吸わないでくれると嬉しいの」
とでは、後者の方が聞いてもらいやすいです。
前者は命令口調になってしまいますが、後者は選択の余地が残されています。
人は、自分がコントロールしていられる状態を好みます。
命令されてしぶしぶやったことは、長くは続きません。
依存をやめたいのにやめられない人は、いきなり全部やめようとしているのかもしれません。
そうなるとハードルが上がってしまい、やめる決心がつかなくなってしまいます。
試しに1日だけやめてみるのがいいかもしれません。
なぜ、依存から抜けないといけないのか。
本書では、最後に以下のエピソードが紹介されていました。
あるところに酒やタバコに依存している父親がおり、彼はタバコや酒が切れるたびにそのストレスからイライラして家族にあたっていました。
そんなとき、幼い娘が父親に言いました。
「お父さん、お酒を飲んでいいよ。タバコを吸っていいよ」
父親は理由を尋ねました。
「だって、お父さんはタバコを吸ったりお酒を飲んだりしているときは、本当の優しいお父さんに戻ってくれるから」
娘にとっては依存行為によって精神状態が上がったときの父親が、「本当の優しいお父さん」だったのです。
タバコや酒が切れたときのストレスは、酒やタバコに依存しているからこそ起きるものです。
酒やタバコに依存していなければ(依存させられていなければ)、ずっと「本当の優しいお父さん」でいられました。
つまり、依存から抜けないといけない理由は、
- 依存症のあなたは、「本当のあなた」じゃないから
- 依存をやめるのは、あなたが本当のあなたに戻り一度しかない人生で何より充実した人生を過ごすため
です。
依存症は、脳の快楽物質を刺激されるものや行為から、いつの間にか抜け出せなくなっているものです。
あなたはそれを自分で選んで、主体的に楽しんで、自らの意志で続けることを選択していると思っているかもしれません。
しかし、それは他人から巧妙に選ばされ、脳の快楽物質を無理やり出させる状態を繰り返すしかない状態に追い込まれ、自らの意志ではやめられない状態にさせられているだけです。
そんなものはあなたの人生ではないはずです。
依存行為中の楽しさを手放せないという人もいるかもしれません。
しかし、それは本当に楽しいのでしょうか。
依存行為中の顔は、本当にいきいきとした楽しい顔をしているでしょうか。
続けていれば、今後そういう顔ができそうでしょうか。
どこかで、「このままじゃいけないんじゃないか」と感じていないでしょうか。
本当に楽しい顔は、依存症のように自分の脳の快楽物質を出しているときでなく、誰かのために何かをしたときにしているはずです。