行動し、継続するためのあれこれ

どうすれば行動できるかとか、それを継続できるかを考えます

1日外出録ハンチョウに学ぶ、自分と対話する方法

今回は、『1日外出録ハンチョウ(2) (ヤングマガジンコミックス)』より印象に残った箇所をピックアップします。

以下ネタバレがありますので、ご注意ください。

 

第9話でボードゲームカフェへ行く予定を立てていた大槻は、鼻と喉の間がムズムズする症状に気がつきます。

現実でも嫌な予感がする、この風邪の引き始めの何とも言えない症状を

これを押したら風邪を引く…そんなボタンがあるとして…今ずーっとその縁を…なで回されている感じ…!

いつ押されてもおかしくない状態…!

と表現します。

連れの沼川には「よくわかりませんが…」と言われていますが、めちゃくちゃ良くわかる表現です。

まだ全然元気なんだけど喉がイガイガして、体温とか図りたくなるあの感じなんでしょうね。

 

「よりによって…なぜ今日なのですか…!」と詰め寄る沼川に対し、

恐らく…冷えたんだろう…!身体が…!ベンチに放置されとる間に…!

1日外出の思わぬ落とし穴…!

「いや、普通の理由!」と、ツッコみたくなる普通の理由を大げさな言い回しで回答するところも面白いです。

 

デイリーマンションで自炊したつみれ鍋を食べ、水に入れたバケツに丸めた新聞紙を差し込む即席加湿器などで完全復活した大槻。

次にとった行動は、

まだ時間もあるし…ちとこの辺を散歩でも…

…と見せかけて…ベッドイン!

ククク…油断しとったろ今…ワシの身体に残った…病原菌ども…!

悪いがワシは…容赦せん…!

とさらに睡眠を取ります。

部屋で一人で姿も見えない声も聞こえない病原菌に対して、フェイントをかける面白さがありますね。

このあたりの自分との戦いみたいな描写が、個人的には一番好きです。

自分自身もこんな風に自分の無意識と対話したいものです。

ちなみにこの話で大槻が着ていた服には「ONE UOPN A TIME」の文字があり、ひとつ前の話ででてきた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を観たんだろうなと推測できたりします。

こういう遊び心もいいですね。

この話のオチは、

この日大槻…1回休んで…6進む…!

 と、ボードゲームでよくあるシチュエーションと風邪を引いてしっかり休養して全快した様子がかけられているわけです。

良くできたなぞかけです。

 

第14話では、大槻の中の「肉を食べたい」という欲求(「邪神」と表現されています)との戦いが描かれています。

この邪神、生半可な肉を食しただけでは収まらず、鳥、豚、牛それぞれを食べたいと暴れだします。

そこで大槻が向かったのは、ブラジル式BBQのシュラスコ

まあ、こんな感じの店でしょう。

バルバッコア・グリル 渋谷店(Barbacoa Grill Shibuya) (渋谷/シュラスコ) - Retty

ここで、大槻は牛・豚・鳥それぞれの様々な部位を食します。

邪神が面白いのは、その大げさな名前と要求の細かさのギャップですね。

カケロ…!バルサミコソース…! 

 という邪神の要求に応えて、大槻がソースをかけて食べると、

グッ…!ソース合ウ…!コッチモ…! 

 というリアクション。

この邪神のチマチマした感じが滑稽です。

 

大槻がサラダバーに向かうのを阻止し、大槻の欲求以上に肉を食べさせた邪神は満足し、

アトハ…アサイーヨーグルトデモ ライチ デモ 好キナモノヲ食ウガイイ…!

と、やっと大槻を解放します(邪神が詳細なデザートの品目まで挙げるところがまた面白い)。

 

しかしここで大槻は、欲望が容易に復活しないよう更に肉を食しようとします。

ハッ!貴様ソノグラス…イツノ間ニ…!

と邪神を驚かせた、大槻の秘密兵器は肉と相性のいい赤ワイン。

肉と酒の無限ループによって更なる肉を食した大槻は、邪神を破裂することに成功します。

つまり、人工的に飽きさせる作戦ですね。

 

現実問題として自分の欲求を飽きるほど満たすことによって、しばらくその欲がでにくくなるのかは分かりません(あまり効果は無い気がします)。

しかし自分の欲求に名前を付け、姿を見て対話し、その欲求と戦うというのは、ひょっとしたら効果のある方法なのかもしれません。